Spring Boot関連の技術書はまだまだ少ない中、2018年11月30日に出版された
を読んでみました。
自分が知る限り「Spring Boot2」を銘打った技術書はこれが2冊目だと思います。
ということで、貴重なSpring Boot2本の簡単な感想を書いていきます。
対象読者
開発から運用までの流れを「Spring Boot2」を使ってやってみたい人
レビュー
まずはじめに。
見出しに引きづられて勘違いしやすいですが、一言で言うと
「Spring Bootを使っての開発から運用って、こういう方法があるんだよ!」
というのをサンプルコードを交えて説明してくれるのが当書です。
「現場目線で役立つSpring Bootのテクニック」
みたいなものを期待すると、拍子抜けしてしまうかもしれません。
「Springが提供している機能を「開発から運用まで」を項目毎に紹介してくれる本」
という感じで読むのがいいと思います。
構成
実際に紹介されているものをさらっと書き出してみると、こんな感じです。
- Chapter1: Spring Bootの構成
- Gradle
- Chapter2: Webアプリケーションによる共通処理
- BeanValidation, ログ出力、PDF,CSV,Excel,メールの取扱
- Chapter3: データアクセス
- Doma
- Chapter4: セキュリティ
- Spring Security
- Chapter5: 画面開発
- Thymeleaf
- Chapter6: API開発
- Swagger, Spring Fox, Spock
- Chapter7: チーム開発
- Docker, Flyway, Sphinx
- Chapter8: 運用
- Spring Profiles, Spring Boot Acutator, Prometheus, Grafana, nginx, Spring Cloud Sleuth, Kubernetes
- Chapter9: システム構成
- AWS, Terraform
- Chapter10: Spring 5/Spring Boot2の新機能
- WebFlux
- Chapter11: ローカル開発環境の構築
- Git, Intellij IDEA
簡潔にまとめると
「Spring Bootを使うと出来ること」
がチャプターごとに分かれて紹介されてます。
良かった点
開発から運用まで一貫した説明
他の入門用の技術書と比べて、実務を意識した記述が多いのがメリット。
「実務でどういった環境整備をして運用していくのか」
を知ることが出来るというのが、当書の最大のメリットだと思います。
Spring Bootという情報が少ない中で、一貫した説明が記述されているのは良かった点だと感じます。
イマイチだった点
広く浅く
項目欄を見てもらえれば分かると思いますが、当書でページが一番多いのが
「運用」
のチャプターです。「運用+システム構成」で90pほどあります。
性質上仕方ないですが、Spring Bootから離れた領域の設定項目のサンプルコードにページが多く割かれている箇所があるのは読んでいて中だるみしました。
また、全体的にサンプルコードの紹介が多く、その分コードに対しての説明も深掘りしたものは少ない印象を受けました。
そのため、既に知識がある分野に関しては物足りなさを感じると思います。
コードでの説明が主なため、自分が知らない分野に関しては手を動かして試すことが出来る作りだと感じました。
コードが見づらい
「サンプルコード+注釈」の説明が多い当書ですが、コードが見づらいです。
何故だろうか、フォントと文字の大きさが絶妙に見づらいんです。
説明とコードでページを跨いだりしている箇所も多いので、いちいち見返したりしなければいけないのもツライ。
地味にこういう所って気になるので、改善して欲しいです。
個人的な感想
サンプルコードで出てくる言語は「Java」です。
個人的意見として「Spring Boot2+ Kotlin」で書かれた物が読みたい・・・
まとめ
一通り読んでみてからAmazonのレビューに目を通してみると、結構的を射ているなあ、と。
「初学者にとっては説明が少ないため、少し難しいと感じるかも」
「しかし、広く浅くSpringの機能を取り上げるスタイルなので、痒い所には手が届かない。」
といった感じ。
読む人を選ぶ本かもしれません。
サンプルコードが多い分、Spring Bootでのプロジェクト立ち上げには重宝するような本だというのは確かです。
「ああ、こんな機能あるんだ」
という箇所も多々あったので、最近Spring Bootに触れて知識不足という人は読んでみると面白いかもしれません。
「Spring Bootを使ってこういう事が出来るんだ」
というのが分かるのが当書の最大のメリットでしょう。
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